太陽になってくれた人がいる?一生の中、その人が必要だね。
桜の舞う季節。
新しい出会いに胸を膨らませ、あたしは学校へ向かっていた。
高校2年生になったばかりのあたしは今日から新しい学校へ通います。
つまり転校生です。
「ここが今日から通う学校………」
決してキレイとは言えない校舎。駐輪場にはバイク。校庭にはたくさんのカラフルボーイ。
とにかく理事長室に行かなくちゃ………
あたしは理事長室を目指して歩き始めた。
コンコンと大きなドアをノックすれば中から返事が聞こえる。
「どうぞ」
「失礼します」
「ん?あ~…君転校生だね。まぁ座りなよ」
「あっ、はいっ」
すわったのはフカフカのソファー。お尻が沈むっ。
目の前にいるのは黒髪のまだ若い男の人。
この人かっこいいなぁ。でも凄い若そうだから理事長ではないはず…
「あの…理事長は……」
「あ、俺理事長ね。」
「えっ!?理事長!?」
理事長!?あたしのイメージではちょっと頭が薄くてお年寄りの男の人……若い!!この人若いよ!?
「ま、28才だ。北山伸〔きたやま しん〕だ。よろしくな。担任もうちょっとしたら来るから」
28で理事長…あたしが衝撃を受けていればコンコン、とノック音が聞こえた。
「入れ」
ガチャリと開いたドアからひょこりと顔を出した若い男の人。あ、きっとこの人が担任の先生なんだ…
「失礼しまぁす。おっ、新しい生徒だな?」
「あっ、よろしくお願いします」
「おう。俺は秋田港〔あきた みなと〕。よろしくな。じゃぁ教室行くぞ」
「はい」
あたしは秋田先生に付いて行った。
秋田先生は本当に教師なの?と疑いたくなるくらい若い。頭も茶髪で耳にはピアスが付いていた。
秋田先生は24才で今彼女を募集中らしい。教室に行く間の短時間マシンガントークだった。
「じゃぁ呼んだら来いな」
秋田先生はざわざわとした教室に入って行った。
落ち着け、落ち着け。
大丈夫、大丈夫。
初めまして。
転校生の上原七海〔うえはら ななみ〕です。
よろしくお願いします。
うん。
これだけ。これを言うだけ。大丈夫。できる。
「上原」
先生に呼ばれたので小さな声でよし、と気合いを入れて教室に入った。
みんなの視線がささる。
さっき先生が言っていた。
この学校は男女比が7:3。
クラスには女子は10人程しかいないんだ。
その数少ない女子は…………
カラフルヘッドのパンダさんだった。
男子はみんなカラフルボーイ。
あたしは肩まで茶髪。茶髪は地毛だから染めてはいない。
あっ…
自己紹介しなきゃ。
「あのっ!!初めまして「「「「「「「「「女だぁぁぁぁ!!!!」」」」」」」」
「ひぃっ………」
なに?
急に男子が立ち上がり叫びだした。
「うるせぇっ」
シーン…………
え?なに?今度はなに?
先生の一言で教室は静まり返った。
「上原、自己紹介」
静かすぎて逆に自己紹介しにくくなったなかあたしは口を開いた。
「う、上原七海です。よろしくお願いしますっ」
思い切りお辞儀をした。
ゴンッ
『あ』
「い………いたぁ………」
恥ずかしい…思い切りお辞儀をし過ぎて教卓に頭をぶつけた。
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