Kino的部落格

よくうさぎをかわいい女の子を指している。

もし、男の子がかわいいうさぎを指したら、あなたはどう思う？

気持ちがよくない？あるいは別にいいけど？

人それぞれ次第だよ。

ば…カワイイ子がいる。

めっちゃあたしのタイプ。 押し倒したい…。

あたし、肉食系じゃないのに…。

あなただけだよ。信じて？

モテる女って、半端ではない努力をしてるっていうけど、あたしの場合、それはあてはまらない。

だって、物心ついた頃から努力なんてしなくても、年齢問わずたくさんの男たちに、ちやほやされ続けてきたから。

モテる女の要素…それは才能。

人より足がすごく速いとか、絶対音感を持ってるとか、素晴らしい絵を描けるとか、そういうもの。

あたしは生まれもって、それを持ってるの。

高2になって2日目、正門に面する教室の窓からは、新入生と父兄がぞろぞろと歩いてくるのが見える。

真新しい制服がまだ何となくぎこちない、初々しい雰囲気の生徒たち。

満開の桜も今日は彼らの引き立て役だ。

…春は好きだな。

寒いの苦手なあたしは、冬の寒さから解放されるだけで嬉しい。

空も陽射しも明るいし、木々の新芽や緑も、いろんな花の柔らかな花びらも、そのどれもが赤ちゃんのように瑞々しくてきれい。

…それに春は、出会いの季節。

新しい学年、クラス替え、先生、クラスメイト…何もかもフレッシュで、ワクワクするじゃない？

新しい何かが、始まりそう。

「…それで古いものはバッサリ捨てたってか」

去年も同じクラスだった友人、三浦　百合（みうら　ゆり）がその大きな目を歪めてあたしに言った。

百合って目ヂカラ強い上にしっかりアイラインにマスカラつけてるから、余計きつく見える。

舞台女優じゃないんだから、ここまで強調しなくていいのに。言わないけど。

「捨てたって、人聞き悪いよー百合。お別れしてもらったんだよ？」

「お別れって、…うちの学校で一番人気の黒崎先輩ふるなんて、さすが紗綾（さあや）だわ。どれだけの女の子、敵に回すんだろうね」

「そんなことないよ。湊がフリーになれば、みんな喜ぶって」

…そう、あたしは新学期初日の昨日、元カレ・黒崎　湊（くろさき　みなと）とお別れした。

去年あたしが入学した当初から、湊の人気ぶりはすごかった。

背が高くてバスケ部エースで、すっごいイケメン、お家も裕福、非の打ち所のない男。

…少々、浮気グセがあることを除けば。

「理由何？　1年も仲良くしてきたくせに」

百合のお弁当を食べるお箸が止まっている。

相変わらず手のこんだお弁当だなあ。

一見ギャル風の百合だけど、ご両親はとってもしっかりしてて、お父さんは学校の先生、お母さんも家事に子育てに熱心なのだ。うちと違って。

あたしは首を傾げ、人差し指を顎にあてて答えた。

「んー、…もう得るものはないかなーって」

「マジか」

あたしはにっこり頷いた。

去年、入学してすぐのあたしに告ってきた湊。

うちの学校で一番モテるという評判も聞いてたし、実際すごくカッコ良かったし、中学時代の彼とも終わってたし、色々タイミングも良くて。

まあいいかなーって軽い気持ちでOKした。

実際湊はあたしの歴代の彼氏の中でもピカイチにいい男だった。

顔もスタイルもいいしオシャレだし、女の子の扱いに慣れてるのか、色んなシーンでもスマートだし、余裕で。
けど、時々他の女の子と歩いてるの見たって聞いたり、あたしと一緒の時でも他の子から電話やメールがあったりして、湊への気持ちの一部分が冷めていたのも事実。