この場合、絶対わかれるよ。
その方がいいかも。
ってか、なにこれ。
量多すぎでしょ。
ファイリングしなくてはいけないのは、ざっと30ページ。
それを25人分用意して、真ん中で折り込んだあと、ホチキスで止めなければいけない。
最悪……。
顔を上げると、もう22時半。
急いでやらなければ、終電が危うい。
長デスクの上に、1ページから順に並べ、まとめやすいように広げると、シンと静まりかえった会議室の中で、一人ファイルを閉じはじめた。
カチコチと聞こえてくる時計の針の音。
それが妙に焦らせる。
終電は確か、23時半前。
ここから駅まで歩いて、10分。
タイムリミットまで、あと40分。
大丈夫。
間に合う。
ささっと、まずホチキスで止める前に、30ページ分まとめていった。
だけど最後のほうになって、違和感を感じる。
え、足りなくない?
25人分用意してほしいと言いながら
明らかに、20人分くらいしかない。
あいつ……。
コピーする枚数間違えたな……。
ここでうだうだしていても仕方ないので、大きくため息をつくと、一冊分の書類を持って、フロアへと戻った。
すでに人が少なくなったフロア。
シンとしているので、なるべく音を立てずにやり過ごしたい。
だけど、コピー機を動かせば、嫌でもウィーンといううるさい機械音が鳴ってしまう。
振り返ることなく、5枚ずつ印刷をして、再び会議室へと戻った。
あとは、5人分閉じれば……。
顔を上げると、23時を過ぎていた。
いい加減、焦ってくる。
ささっと一枚一枚折り込んでいると……
「なーに一人でやってんの?」
急に響き渡った一人の声。
一瞬にして、その声の主が分かってしまい、振り返るのが嫌だと思いながらも、ゆっくりと振り返った。
そこには、予想通り、岬さんが立っていて……
「……お疲れ様です。
課長に頼まれたファイリングをしているだけですよ」
「もうすぐ終電じゃねぇの?」
「分かってます。もう終わりますから」
無駄話をしないよう、すぐに目線を書類へと戻した。
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