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月に神様がいる?何か見せられたら、出てくるかな?

息苦しい生活を

抜け出して

踏み入れた夜の街で

出逢ったアイツ

 


この街にのさばるチーム


-LUNALUX-


その『ヘッド』から


私は逃げている

 

「絶対ぇ逃がすな」


だが、断る!!

 

それは叶えることの許されぬ想い

夜も深いと言うのに


煌々と空を照らす街のネオンと


スクランブル交差点、幾重にも重なるスクリーンビジョンの音の中を

 

 

――駆け抜ける。

 

 

今日はずいぶんしつこいな。


呼吸は、はぁはぁからぜぃぜぃに変わっていて、体力の限界が近い。


あがり切った息に胸が苦しくなって手近な建物の隙間深くに身を潜めて、近付く足音が通り過ぎるのを待つ。


吐き出す息の白さが冬の夜を物語る。


「いねぇぞ、あの女」

「どこ行った」

「見失ってんじゃねぇよ」

「やべぇ、カズキさんにぶっ殺される」


カラフルな髪にカラフルな服。


違法行為を物ともしないようなこの街にのさばる野良犬たちに


私は追われているらしい。
何で追われているのか

心当たりがないわけじゃないけど


ここまで必死に追われる理由は

わからない。


分かるのは、やっぱりもうこの大好きな街には出入りできそうにないってことだ。

 

「諦めんな!探せ!」


「絶対ぇ傷つけんなよ!」

 

とりあえず、捕まる訳にはいかない。


時計に目を落とすと、もう日付が変わろうとしていて


「しょうがない」


今日はタクシーで帰るか……


人影が無くなったのを見計らって、大通りに向かって駆け出すと

 

「居たぞ!」

 

背後から聞こえる野太い声。


振り返ることなく走り続けて、『空車』を掲げるタクシーに滑り込んだ。

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